お茶のペットボトル、いったい、どれくらいの数のブランドが販売されているのだろうか。コンビニの冷蔵庫なんか、日本茶のペットボトルだけでいくつもの棚が埋まっている。皆、迷わないのかしら。お気に入りがあるのかな?
私の一番のお気に入りは、玉露100%の「おいしいお茶」という商品だ。
ふくよかな旨みがきいてて、後味がほんのり甘く、本当に美味しい。初めて飲んだとき、このお茶をほんとに150円で売っていいの?、採算は合うのかしらと心配したくらいだ。
とはいえ、実は、たった一回しか飲んでいない。両国(国技館のあるところですね)の同愛記念病院の売店で買ったもので、よそでは見たことがないのだ。メーカー名も覚えていないので、私にとっては「幻の逸品」なのである(どなたか知っていれば、ぜひ教えてください)。
さて、たくさんの種類のお茶ペット。決め手の一品が幻になってしまっている今、私は、その日の気分で気まぐれに手に取る。
なのにね、とても不思議なことがある。
私の大好きなひとと私が、それぞれに買ってきたお茶ペットを並べると、なぜか、おんなじものなのだ。ふたりとも定番があるわけじゃない。気まぐれに、いくつかのブランドがとっかえひっかえし、たまに季節の期間限定物が混じる。
なのに、テーブルに並んだお茶ペットを見て、ふたりで同時に「あら」「お」と声を上げる。もう何回、それをやったかしら。
40代半ば、倦怠期カップルの、不思議な奇跡。ロマンティックな愛のことばなんか、ここのところ、とんと聞いたことはないけれど、私たちの縁を、ふたつ並んだペットボトルが見せてくれる。その一対のペットボトルを眺めながら、このひとと、今生の終わりまで一緒なのだろう、としみじみと思う。
そんなとき、たいてい彼は、チャンネル・サーフィンしながら、いくつかのニュースをはしごして見ている。私の話に無関心もいいとこ、まるで傍に誰もいないかのようなマイペースぶりなのだ。私って、彼の何なんだろう?
でもね、お茶を飲んだ彼に、くすりと笑ってしまった。いったん飲んだペットボトル、ちゃんと私のお茶に寄り添うように、くっつけて置くのだもの。
愛しているなら、そうおっしゃい。飲みかけのペットボトルを、そっと交換しながら、私は心の中でつぶやく。
彼は、私のお茶を飲んでいる。気づきもしないで。・・・と、思ったら、「何を小細工しているのだ? 中学生じゃあるまいし」
ばれたか、間接キッス。

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